Clam | 二枚貝の仲間 | 軟体動物門二枚貝綱 | 貝によって違う |
価格帯:6〜10Eur/Kg |
日本で二枚貝といえば、ハマグリ、アサリ、シジミが御三家という感じですが、パリで二枚貝といえば、カキ、ホタテ、ムール貝でしょう。
カキは一瞬「二枚貝?」と思いますが、確かに二枚貝ですよね。片側の殻を岩などの表面に吸着させて生活します。数種類のカキがサイズ毎に番号を付けられて売っています。番号が小さいものほど大きくなり、牡蠣フライなら1番か2番、生牡蠣なら3番か4番がいいでしょう。00番など、すごく大きいものも売られています。ちなみに、多くの場合カキの販売はダース(12個)単位です。
カキは形が丸いものと長細いものがありますが、丸いものがもともとのヨーロッパ固有種です。しかし、1960年代に牡蛎の病気が流行り、フランスではほとんど絶滅してしまいました。現在ではブルターニュのブロン村周辺でしか生産されていないので、この牡蛎をブロンと呼びます。普通の牡蛎の数倍の値段がします。
通常のカキは、実はその病気の後、日本の宮城県から種牡蛎を輸入して増殖させたもので、元々は日本の牡蛎です。ポルトガル産の牡蛎と種類が近く、フランスでは区別せずポルテュゲーズと呼ぶことが多いようです。カキの種類については詳しい本が沢山出ていますので、そちらを参考にして下さい。
カキは「R」の付く月(9月〜3月)に食べろと良く言われますが、パリでは一年中カキを売っています。しかし、やはりこちらの人も夏場は生で食べることは余りないようです。シーズンはやはり冬で、11月から1月くらいが一番美味しいと思います。
ホタテも一年中売られていますが、やはりシーズンは秋から冬で、10月になるとどこの魚屋でもホタテの大売出しが始まります。
パリではホタテを買うと、殻から出して中身だけにしてくれる店も多いのですが、そのときにホタテの内蔵や紐を捨てられてしまいます。シチューの具やフライならそれでもいいのですが、刺身や浜焼きで食べるなら、やはり紐や内臓もほしいものです。ぜひ殻ごと持って帰って、自分で殻から出しましょう。カキに比べればずっと簡単です。
但し、パリのホタテは日本のホタテと違い、砂を多く含んでいますので、焼いて食べる場合も、一端殻をあけて取り出して洗う必要があります。特に紐には砂が付着しやすいので、流水でよく洗います。浜焼きにする場合は、貝殻の内側も洗うのを忘れないようにしましょう。
なお、ホタテガイはSaint Jacque の名前で売られていますが、小型のホタテガイはPétoncleの名前で売られています。Pétoncleは元々ホタテガイを含むイタヤガイ目の総称のような名前ですが、魚屋では、イタヤガイはSaint Jacqueの名を付けて売ることはできないようです。小型ですが味はホタテに似ており、意外においしく食べられます。
ムール貝は日本ではカラス貝などと呼ばれ、余り食べない貝ですが、こちらでは「主食」のように食べる貝です。海辺のレストランに行ってムールを注文すると、バケツ一杯分くらいのムールがテーブルに置かれることもあります。塩茹でやワイン蒸しなどが美味しく、お酒のつまみにも向いています。魚介類専門のレストランでは、このムール貝が生で出てきます。少し苦味があるので、好き嫌いが分かれますが、日本では味わえない味です。
他にもパリでは、アサリやハマグリに似た貝が手に入ります。種類も多く、生食できるものも多いので、日本よりも貝を買う楽しみは多いと言えます。
生食で私が一番気に入っているのは、Praireです。貝を開けるのがすごく難しいのですが、とても美味しい貝です。Clamやアサリ(Palourde)も生食しますし、Amande de merは安いわりに、生食でも美味しい貝です。
他にも二枚貝は多く、まだ私は研究不足で、何をどうやって食べるのが美味しいか不明です。季節によって貝の種類が変わるようで、特に春後半から夏にかけては貝毒が発生して貝の入荷がストップすることもあるようです。
二枚貝の変り種ともいえるのがマテガイ(Couteau)です。売っている魚屋さんは少ないのですが、秋に店頭で見ることができます。パリのマテガイは4〜5種類あるようですが、いずれも塩茹でなどで美味しく食べることができます。アオヤギで有名なVerniもよく売っています。
仏語名 | 英語名 | 日本名 | 学名 | 分布 | コメント |
Amande de mer | Dog cockle | (潮吹貝の一種) | Glycymeris glycymeris | 全世界 | 日本にはいない。美味。 |
Arche | Arkshell | 赤貝、サルボウ | ARCIDAE | 日本のアカガイは別種。 | |
Clam | Clam | 二枚貝の総称 | 全世界 | 二枚貝の総称だが、ハマグリに近いものをこの名で売っている。 | |
Clovisse | Carpet sell | アサリ | Tapes decussatus | 大西洋 | Palourdeの名で売られることが多い。Clovisse jaune(Tapes aureus)もいる。 |
Coque | Cockle | トリガイ ザルガイ |
CARDIDAE | 世界 | 世界中で産するが種類は異なる。 パリではCardium edule(ヨーロッパザルガイ)が多い。 |
Couteau | Razor shell | マテガイ | SOLENIDAE | 全世界 | フランスには4〜5種類のマテガイがいる |
Grisette | Venus | アラスジケマン | Gafrarium tumidum | 太平洋・インド洋 | ニューカレドニアで販売。フランスのCoqueと同じに扱われているが別種 |
Huître | Oyster | カキの総称 | OSTREIDAE | 全世界 | カキの一般名称。種類が多く値段も大きく異なる |
Moule | Mussel | ムール貝 | MUGLIDAE | 世界 | 近似種のムラサキガイ(Mytilus edulis)も同名で呼ぶ |
Mye | Soft clam | オオノガイ | Mya arenaria | 大西洋・太平洋 | 長楕円形の白い貝 |
Palourde | Carpet sell | アサリ | Tapes virginea | 大西洋 | Clovisseとは別種で少し大きいがアサリの仲間。日本のアサリは別種(Tapes japonica) |
Pétoncle | Variegated scallop | イタヤガイ | Chlamys varius | 大西洋・地中海 | 小型の帆立貝。岩礁帯に生息する。 |
Praire | Warty venus | カブトノシコロ | Venus verrucosa | 大西洋 | マルスダレガイ科の貝でハマグリに近い。OECD分類では英名”Quahaug"、学名"Mercenaria mercenaria"となっている。日本の「あらぬのめ」は同科の別種。 |
Saint Jacques | Scallop | ホタテ | PECTINIDAE | 世界中 | 砂が多いので良く洗う必要がある。Coquille St. Jacquesとも。 |
Telline | Thin tellin | サクラガイの一種 | Angulus tenuis | 世界中 | 食べ方不明。カガミガイにも似る。 |
Vénus | Venus | アサリに近い | Clamelea gallina 他 | 大西洋 | Vénusには数種類ある。 |
Verni | Rayed trough shell | アオヤギ | Mactra spp. | 世界中 | いわゆるバカガイ。 |
Vongole | Carpet sell | アサリ | Tapes decussatus | 地中海 | ジュネーブではイタリアから入ってくるアサリをこの名前で売っていることがある。 |