Mulet ボラ スズキ目ボラ科 年間通じ供給(?)
価格帯:3-10eur/kg

ボラは、日本ではオボコ→イナ→ボラ→トドと名前の変わる出世魚で、「とどのつまり」といういい方は、ここから来たといわれています。あまり美味しい魚という印象はありませんし、クロダイ釣りの外道として釣れても大抵はリリースする魚で、持ち帰ったとしても、あらいで食べるくらいしか思いつかない魚です。

しかし、実は日本でも外洋のボラはタイよりうまいと言われ、その刺身は珍重されているのです。

日本のボラが不味いのは、その食性に理由があります。ボラは海底中の泥に住む底生動物を泥と一緒に食べ、泥は消化せずに排出します。このため、泥の匂いが身体につきやすく、日本の近海ではヘドロ臭の強いボラになってしまうらしいのです。しかし、海底が綺麗なら、元々ボラは透明な白身が美しい美味しい魚のはずなのです。

日本では、もし食べるなら30cm前後のボラが美味いと言われますが、パリで売っているぼらは殆どが50センチ以上の大型です。秋には一時的に20cm〜30センチのボラが大漁に店頭に出ることがありますが、あまり人気は無いようです。フランス料理のメニューにもたまに登場しますが、正直言って、それほど美味しいと思ったことはありません。味が淡白なので、フランス料理に向くのかもしれません。

日本には、ボラと、ボラに似たメナダという2種類が一般的で、他にコボラ、セスジボラなどが見られますが、パリのボラにも4〜5種類あるようです。但し、魚屋で区別されてるのは見たことがなく、全てMuletとして売られています。

仏語名 英語名 日本語名 学名 分布 コメント
Mulet Mullet ボラ MUGILIDAE 全世界 フランス近海では数種のMuletが捕れる。 
Mulet cabot   ボラ Mugil cephalus 大西洋・地中海 最も一般的なボラ
Mulet capiton   ボラ Mugil capito 大西洋・地中海 頭部が扁平で、体表面に金色のスポットがある。 
Mulet dore   ボラ Liza aurata
Mugil auratus
大西洋・地中海 目の後ろに大きな黄色斑があり、体型がスマート。 
Mulet lippu   ボラ Chelon labrosus 大西洋・地中海 体長が短くずんぐりしており、黄色の縦じまを持つ。Mulet à grosses lèvresとも呼ぶ。
Mulet sauteur   ボラ Mugil saliens 大西洋・地中海 Mulet doreに似るが、黄色斑を持たない。よくジャンプする。