97年8月23日(土曜日) 鹿島港

先週の不調を取り返すべく、木村さんと北新堤再挑戦です。今回の計画は遠大で、まず鹿島灘漁港で餌用のハゼか小魚を釣り、その餌で平目などを狙おうというものです。木村さんとは鹿島灘漁港で10時過ぎに待ち合わせをしました。

鹿島灘漁港に到着はちょっと遅れて11時前。木村さんは既に到着しており、投げ釣りを始めています。

「どうですか」

「ぜんぜんだめ」

「ハゼもいないの」

「うん。でも小魚はいるよ」

堤防際を覗き込むと、メジナらしい小魚は見えます。

「メジナじゃ餌にならないかなあ」

といいながらも早速トリックサビキを準備します。

すぐに掛ってきたのはやはり小メジナ。でも上げる途中で外れて落ちます。2匹目もすぐ掛りますが、バケツを忘れてきたのに気づいたので、とりあえずリリース。メジナならいくらでも釣れそうなので、魚を活かして運ぶためにポリタンクの準備をします。

しかし思い通りに運ばないのが釣りの面白いところです。その後はメジナ達にトリックサビキを見破られたらしく、餌に寄っては来るのですが、全く食いません。メジナの群れには偵察係の魚が2〜3匹いて、こいつらを最初に釣り逃すと群全体が食わなくなるというのは有名ですが、まさにその状態になったようです。

仕方ないので堤防際に糸を垂らして置き竿にしておいたところ、突然強い引き。上がってきたのは7cmほどのメバルです。メバルがいることが分ったので、トリックサビキの餌を青イソメに替えます。当然フグの猛攻になりますが、時々でもメバルが釣れればOKという釣り方です。ちなみに、ここのフグはクサフグでもショウサイフグでもなく、縦縞のきれいなフグです。

さて、トリックサビキに次に掛ってきたのは、メバルではなく小メジナ。そしてその次は、何と茨城に来てはじめてのカワハギです。

「木村さん、カワハギ釣れちゃいましたよ」

「ほんとだ。やっぱりいるんですね。」

この水族館釣りはまだ続きます。次に釣れたのは、クジメ。そして最後はついにハゼです。結局6種類も魚を釣ったのに、キープ総数は7匹という奇妙な事態になりました。

あまりにも釣れないので、餌の確保はあきらめ、昼食を食べて北新堤防に移ることにしました。暑さが厳しくなってきたので、コンビニで飲み物を仕入れ、堤防に到着したのが1時半過ぎ。今日は外側のキス釣りをしたかったので、堤防根元あたりに陣取ります。

まず、先程釣ったメジナを餌にヒラメ狙いをとりあえず投げ込みます。それから先程鹿島灘漁港で使っていたトリックサビキを内側でしてみますが、フグさえ掛りません。外側でやってみるとフグの猛攻です。仕方ないのでトリックサビキはあきらめ、キス釣りの準備を始めます。

「カニが釣れちゃいました。」

その頃既にキス釣りを開始していた木村さんがヒラツメガニ(いわゆるHガニ)を持って帰ってきました。

「このカニなら美味しいから結構いいですよ。」

といっているうちに、木村さんに2匹目のかに。

「何だかどこに投げてもカニが釣れちゃいますよ」

私も準備が出来たので、投げてみます。100mほど投げて、サビくと、20mもさびかないうちに何かに餌を掴まれたのが分ります。そこで合わせると百発百中でカニが掛ります。これこそPE糸の本領発揮です。ナイロンの糸では決して分らないような微妙なあたりがはっきり分ります。ただ、弾力が無いので、上げて来る間に落ちることも多くなります。この釣りが結構面白くて、しばらく熱中してしまいます。

「カニが餌を捕まえましたよ」

「合わせますよ」

「はい、乗りました」

って感じで、説明しながらでも釣れてしまいます。結局二人で10匹以上釣りました。あまりカニばかりなので、カニを避けてちょっと早目にさびいてみると、突然強いアタリ。

「あれ、何か来た」

「魚ですか」

「うん。あれ?外れたかな。」

突然軽くなり、錘の重さまで消えます。どうも魚がこちらに走ってきているようです。

「いや、いるなあ…やっぱりサバだ」

上がってきたのは30cmほどのサバです。またもキスねらいでサバを釣ってしまいました。

その後はまたカニだけになったので、キスをあきらめ内側の身餌による投げに移ります。

夕方になってきたので、投げサビキをしてみますが、フグ以外は釣れません。しかし突然20mほど横で何か釣れました。木村さんによると、10cm程のイワシだそうです。早速浮き付きトリックサビキを再開しますが、フグだけ。どうしようもないので隣の木村さんの弓角攻撃を眺めていたら、いつのまにか私の浮きが消えています。上げてみるとイワシ4匹で、仕掛けは既にぐちゃぐちゃです。イワシは大きな群ですが、相当のスピードで移動しているようで、すぐにいなくなってしまいます。10分ほどして2度目のイワシ襲来。まず50mほど先でイワシが釣れ始めます。そして隣で。水面が波立つほどの群です。その真ん中にトリックサビキを入れると一瞬で鈴なりです。しかし、上げる時に結構落ちて、また4匹でした。結局イワシの襲来はこの2回だけで終わりました。釣れたいわしはカタクチイワシですが、なぜか1匹だけマイワシが混ざっていました。

この頃喜多先生が到着されます。喜多先生はさらに先端のテトラ崩れのあたりに入られます。しかし堤防全体が不調で、このイワシの後は全く何も釣れなくなりました。何しろ海面は夜光虫の大発生で、浮きの上げ下げが幻想的な美しさを醸し出しているのは良いのですが、釣りには最悪のコンディションです。明かりを点すとタチウオは来るのですが、やはり釣れません。結局この後は、身餌の投げ釣りで私がアナゴ、木村さんがドンコを釣っただけで終わりました。

今回感動したのは夜光虫の美しさです。バケツに汲んだ水にも沢山の夜光虫が入ってくるので、バケツを振動させるだけで光ります。ぜひ娘に見せてやりたかったのですが、さすがに夜光虫はすぐ死ぬので持って帰るわけにも行かずあきらめました。

結局本日の釣果は、クジメ1匹、カワハギ1匹、小メバル1匹、小メジナ2匹、ハゼ1匹、アナゴ1匹、サバ1匹、マイワシ1匹、カタクチイワシ7匹、ヒラツメガニ多数、フグ多数で終わりました。どうも北新堤防の釣果も落ち始めたようです。釣り人も少なくなってきました。また次の釣り場を開拓しなくては…

ところで、我々が堤防を出ようとする頃から雷が鳴り始め、車に乗ったところで雨が降り始めました。我々にすれば最高の納竿タイミングだったわけですが、他の人たちはどうしたか、ちょっと心配です。