97年8月29日(金曜日) 鹿島港

今日は夏休み最後の釣りをしようと、いつもの木村さんと数日前から計画を練っていました。直前まで久慈漁港の夜釣りを考えていたのですが、木村さんがやまがた釣具店に問い合わせたところ、ちょうど端境期で何も釣れていないとの情報だったそうです。そこで取りあえず場所を決めずに仕事を終えた後、筑波の上州屋に集合しました。上州屋では久慈漁港、大洗新堤防、大竹方面のヘッドランド、波崎漁港などが候補に上がりましたが、結局どこも夜釣りは望み薄なので、朝マズメの回遊魚に期待して、またも鹿島の北新堤防に行くことにしました。

北新堤防到着は8時頃です。取りあえずテトラの入っていない角まで行き、釣り具を置いて先客の偵察に行きました。しかし、ここしばらくの不調からか釣り人自体が少なく、また釣り人がいてもほとんど釣れていない状況です。先客のほとんどは投げサビキのアジ狙いか、内側のタチウオ狙いのようでした。

角まで戻り、マゴチ・タイなどの五目狙いで外側に投げ釣りをすることにしました。私は青イソメ・赤イソメ餌で天秤全遊動仕掛けにして遠投置き竿、木村さんはイワシ身餌の胴付き仕掛けで足元を探ります。釣り始めて5分もしないうちに木村さんが竿と格闘しています。

「根掛かりですか」

「そうみたい。でもへんだなあ。あっ、魚だ、やったあ」

一見根掛かりのようでしたが、上がってきたのは立派なクロソイです。ソイが餌をくわえて根に潜っていたため、根掛かりの感触になったようです。幸先の良いスタートに二人とも俄然やる気がおきました。ソイの興奮がさめる間もなく、今度は私の投げ竿にあたりです。慌てて竿に飛びつきます。

「お、当たってる。」

「釣れてますか」

「うん。何かは釣れてる」

「タモいります?」

「いや、それほど大きくないからいいです」

と言っていいるうちに上がってきたのはイシモチです。30センチ近い立派なサイズでした。

「なあんだ、イシモチだ」

「でもいいサイズじゃないですか」

「まあね、このサイズならいいですよね」

「江藤さんに追いつかれちゃったなあ」

「でもソイの方が格段にいいですよ」

その後も私は遠投中心、木村さんは2匹目のどじょうならぬ2匹目のソイを狙って足元中心に攻めます。私の方にはコンスタントにイシモチが来ます。木村さんの方にはコンスタントにソイが・・・・だと嬉しいのですが、来るのはドンコばかりです。でも結構型のいいドンコなので、羨ましくて私もヘチ釣りもすることにしました。胴付き仕掛けにサンマの切り身とワカサギの塩漬けを付けて投げ込みます。木村さんは逆にイシモチがほしくなり、遠投竿も出します。しかし、その後もイシモチは私の竿に、ドンコは木村さんの竿に来ます。

「江藤さん、ドンコとイシモチ交換しません?」

「いいですよ、私ドンコ大好きですから。」

ということで、トレード成立です。

この頃から、遠投竿にはアナゴが混じり始めます。アナゴは私にも木村さんにもコンスタントに来ます。私の竿にはドンコも来始めました。ワカサギの1匹付けが好きなようです。

1時頃、突然足元に落としたサンマ身餌の竿に強い当たりです。慌てて竿に飛びつきます。

「何か来ましたよ」

「ソイですか」

「分からないけど相当強い引きです。」

「タモいります?」

「うん。お願いできますか?」

「今準備しますから1分待ってください。」

木村さんがタモを準備してくれている間、少しずつ引き上げます。しかしなかなか姿は見えません。期待感ばかりが膨らみます。しかし・・・・水面に現れたのはアナゴです。

「アナゴだあ」

「じゃあタモはいらないですね。」

「うーん・・・でもタモじゃないと上がらないみたい。」

「ええっ?」

「タモお願いします」

木村さんにタモ入れをお願いして、取り込んだアナゴは、何と長さ80センチ、重さ1キロの超巨大アナゴです。それもクロアナゴではなくマアナゴ。マアナゴでこれだけ大きなものを見たのは始めてです。クーラーに入らないのでスカリに入れて海に浸けておくことにしました。

午前2時頃には二人とも前半戦の忙しさから疲れが来て、しばらく半休憩モードに入ります。夜明けまでもうすぐです。

4時半頃、へちに垂らしておいた私の竿にアタリがあります。まだドンコだろうと思いながらも上げてみると、小型ながらもクロソイです。ほとんどリリースサイズ直前ですが、写真を撮りたかったのでキープします。

「やった、ソイが釣れましたよ」

「やりましたね。」

ソイは本当に夜明け前のラストチャンスでした。4時半には空が白み始めます。

「夜が明けますね。」

「さあ、回遊魚タイムですぜ。」

私はイナダ狙いでタコベイト6本針の遠投サビキ仕掛け、木村さんは通称スキップバニーと呼ばれる弓角仕掛けで回遊魚を持ちます。

夜明けとともにキャスト開始。数投目に私の竿にアタリがありますが、この当たりはいつものやつです。

「サバが来ましたよ」

「サバですか」

「うん。あれ、ちょっと重いなあ」

なぜか急に竿が重くなります。でも魚が掛かったというよりは海草でも掛かったような重さです。確かに最初はサバだと思ったのに、変だなあと思いながら巻き上げると、何とサバの6点がけです。

「サバが6匹かかっちゃいましたよ。6本針に6点がけだああ」

30センチクラスのサバ6匹ですから重いのも当たり前です。しかし、その後はサバがポツポツ来ただけで、待ち望んでいたワカシやカンパチの姿は見ないまま7時過ぎになりました。回遊魚に未練は残りましたが堤防上も相当暑くなってきたのでこれで納竿としました。

結局この日の釣果は、イシモチ7匹、アナゴ4匹、サバ8匹、ドンコ4〜5匹(木村さんから何匹もらったか忘れた)、ソイ1匹でした。回遊魚は釣れませんでしたが、久々の大漁でした。しかし木村さんのソイは羨ましかったなあ。