99年6月5日(土曜日) 東海村某堤防

釣り場に悩む二人・・

さてさて、このところ絶不調の我々二人組、今回のターゲット検討にも頭を悩ませます。しかし、どうしても気になるのは、茨城中絶不調の中で爆釣状態のノビタさん。小型とはいえ、タチウオの入れ食いは楽しそうです。きむさんとの相談の結果、今週のターゲットは、この太刀魚にすることにしました。場所は東海村某堤防・・・もうみなさんご存知だとは思いますが、一応、ノビタさんのHPで正式に公表されるまでは、この名前で呼ぶことにしますね。先週も行きましたが、今回の釣行場所はいわゆる一文字堤防です。

ノビタさんの情報によると、タチウオが釣れるのは、朝と夕方だけのようです。ノビタさんのように、近くにお住まいの方は、ゴールデンタイムだけを狙った釣行が可能ですが、われわれはそうはいきません。一日の計画を立てて出発する必要があります。早速きむさんと相談です。

「夜明けから夕方まで釣るか、夕方から朝まで釣るかだね。どうする?」

「昼間は暑くて釣りにならないから、夜から朝までにする?」

「昼は那珂湊港に行ってお土産確保という手もあるよ。」

「それがいけないんじゃない? お土産無し覚悟で釣らなきゃ。」

「そうだね。じゃあ、夜から朝までにしようか。」

「うん。それがいいな。夜沢山釣れたら早く帰れば良いしね。」

「夜にアジかイシモチが釣れるといいね。ところでGakuさんは夜は何釣るの?」

「アカエイとゴテンアナゴ。」

「何それ? なんで?」

「図鑑用の写真がほしいんだ。身餌なら釣れると思うんだけど・・・」

「がんばってね。」

ということで、土曜の午後出発が決定しました。ノビタさんのHPの写真を見ただけでルアーの種類が分かってしまうきむさんのアドバイスにしたがって、上州屋でルアーを買ってから出発する計画で、午後2時に待ち合わせとなりました。

土曜日、12時頃、突然携帯が鳴ります。

「もしもし。」

「やあ、Gakuさん。ノビタです。」

「あ、おはようございます。朝はどうでした?」

「うん。それでね。釣れるポイントが結構限られているんだよね。」

ということで、わざわざお電話で太刀魚の釣れるポイントを教えていただきました。ありがとうございました。夕方現地でお会いする約束をします。

予想以上の好調スタート

さて、2時につくばを出発し、土浦の上州屋に行きます。ここはルアー専門のキャンベルが併設されているので、ルアーが豊富なのです。一緒に、青イソメやアミエビ、いわしなども買いこみます。イワシは、ヒラメ、エイ、イカなどを狙うためです。きむさんはイワシより餌持ちの良いキビナゴを使うようです。

2時45分に上州屋を出発し、高速へ。那珂インターで降りて、コンビに経由で現地到着は3時45分頃でした。駐車場に車を止め、堤防の目的ポイントまで歩きます。既に堤防そばの岸壁には沢山の人が並んで釣っています。どうもイカが来ているようです。しかし、今日の目的はタチウオですので、予定通り一文字に向かいます。

15分ほど歩いて、ノビタさんに教えてもっらたポイントに入りました。早速準備開始です。きむさんは投げサビキから。私はヒラメとイシモチ狙いのイワシぶっこみ、青イソメ胴突き仕掛けをまず準備します。この仕掛け、根がかりに強いMTさん仕掛けの改良型ですが、色々な用途に使えるので最近お気に入りです。上針に青イソメ、下針にイワシをつけて30メートルほど投込みます。

糸ふけを取って、糸を張ろうとしたところで、ぶるっと魚の感触です。第一投からとは驚きました。

「きむさん。入れ食いだよ。もう釣れた。」

「何が釣れたの?」

「何だろう・・・イシモチだ。」

上がってきたのは28cmほどの立派なイシモチでした。これは幸先が良いぞと思ったのですが、これ以降は釣れません。偶然群れの近くに落ちたのでしょうか・・・・

次に私が準備したのは、カレイ狙いの特製?天秤仕掛け。きむさんは私のイシモチを見て胴突き仕掛けです。二人で100メートルほど先に投込み、底の様子を探ります。底は固い砂地で、砂紋が固まっているようで当りのような手応えです。きむさんと顔を見合わせて話します。

「この底、何?」

「砂・・・泥かな?なんだかへんな底だね。」

「うん。当りみたいだよね。」

「うん。本当に・・・あれ? 当りじゃないのかなあ・・・」

どうも、あたりのような気がしてならないので、巻き上げてみます。すると驚いたことに、カレイ狙いの15号カレイ針、青イソメ餌に銀色の紐が・・・そう、タチウオです。まだまだ日も高いこんな時間にタチウオが釣れるとは思いませんでした。反対側に投込んでみると、錘が落ちた近くから突然魚が飛び出します。トビウオです。

ちょうどその頃ノビタさんがやってきます。

「やあ、どうですか?」

「まだ来たばっかりですよ。でも、太刀魚釣れましたよ。」

「へー、もう釣れたの。」

ということで、ノビタさんはタチウオ専門で参入です。で、早速1匹釣り上げます。これを見て、きむさんも早速タチウオ釣りに参入です。私は、とりあえず投げ竿を全て準備し、サビキの竿も1本出してみます。今日はサビキ仕掛けとイカ釣り仕掛けを一体化した、「一石二鳥」仕掛けです。別名「二兎を追うものは一兎を得ず」仕掛けとも呼ばれています(^^;;;;

ノビタさんはポツポツと太刀魚を釣り上げます。私の次の獲物が、なんとカレイ。20cm強の小型ですが、投げ釣りで釣れました。なぜか1種1匹ずつ釣れます。ともかく魚が釣れるのは嬉しいですね。

お隣さんでは置き竿にしていたサビキに大型の魚が掛かっています。本人は反対側でイカエギを投げていたので、大声で呼びます。

「サビキにぼらが掛かってますよ。」

「え? ボラ?」

「ボラかマルタか分からないけど、その手のやつです。」

「ああ、本当だ・・・マルタだねえ・・」

50cmを越える巨大魚ですが、マルタでは残念です。でも、写真を撮らせてもらいました。

タチウオ釣り開始!!

さて夕方になってきたので、私もタチウオ釣りに参入します。しばらく空振りが続きますが、何投目かに、ググっという当り。1匹目がつれました。40センチほどの小型です。この後、ポツポツながら釣れます。ノビタさんはさすがに上手く、一度に数匹釣ったりして、数を伸ばします。私のほうはポツポツなので、数が伸びません。きむさんは、どうも不調で苦しんでいます。タチウオ釣りのコツが掴めないようです。

私は、タチウオの当りが遠のくと、投げ釣りに戻るというパターンを繰り返していましたが、何度目かに、隣の釣り人さんから声が掛かります。

「その竿当ってるよ。」

「え、これですか?」

上げてみると、イシモチが付いていました。24センチほどです。ちょうどそこにアジさんがタチウオ釣りにいらっしゃいました。

「やあ、釣れたの?」

「ええ、イシモチです。」

「ああ、グチッコだね。イシモチとは違うでしょ。」

「ニベですよね。」

「うんうん。ニベ。」

この当りではグチッコと呼ぶようです。また新しい魚の呼び名を覚えました。

さて、アジさんが登場したので、みんなでタチウオ釣りです。またも、ぽつぽつ釣れます。しかし、ノビタさん、アジさんに比べ私は圧倒的に少数しか釣れません。きむさんは全く釣れずに苦しんでいます。腕の差か、道具の差か・・・確かに、私は投げ竿で、いいかげんな仕掛けでやっているのですが・・・

きむさん大逆襲!!

さて、夕方、タチウオのゴールデンタイムがやってきました。この時間になればどこでも釣れるだろうと、私はみんなから離れて、他の場所でタチウオを狙うことにしました。確かに釣れるのですが、魚影は薄いようです。きむさんは、アジさんから釣り方を教えてもらったりして、ついに1匹目を釣ります。この1匹がきむさんを開眼させました。突然爆釣です。ノビタさん、アジさんを後目に釣りつづけます。ほとんど一人で入れ食い状態です。

「きむさん、絶好調じゃん。どうしたの。」

「タチウオ釣りのコツが分かったんだよ。」

と言いながら釣りつづけます。周りが暗くなって、ノビタさんやアジさんが止め始めても、きむさんは釣ります。ノビタさんは、結局16匹ほど釣ったようです。おまけに、ナマコまで釣ってました。(^^)

ところで、このときに、珍しい方にお会いしました。私のHPからもリンクされているので、皆さんおなじみの湊さんです。今日は、イカを釣りに来たとのこと。しっかりシリヤケイカを確保されていました。湊さんとはHPを始めた頃からメイルでは知り合いでしたが、お会いしたのは初めてで驚きました。

夜の部で大物?とイカ登場

さて、真っ暗になり、さすがのきむさんもタチウオが釣れなくなりました。夜釣りモードに突入です。ノビタさん、アジさんらはお帰りになりました。

「ライト点ける?」

「うん、点けたらタチウオ来るかも。」

ということで、集魚灯を点けて夜の部開始です。私は先ほどのサビキ+イカ仕掛けを2セット用意します。投げ竿のほうは、餌を全てイワシに換えてぶっこみます。

しばらくして、このぶっこみ竿に付けた鈴がチンと鳴ります。大あわせを入れると、間違いなく大物の手応えです。しかし、イワシの1匹掛けを食う夜の大物ですから、上がってくるものは分かっています。アナゴです。さて、狙いのゴテンアナゴか、マアナゴか、それともこの強い引きは黒アナゴかと楽しみながら寄せます。引きは強く、ドラグを少し緩めてやると糸を引き出すので、ドラグを鳴らして遊べます。そして、水面に現れたのは大型のマアナゴ。マアナゴならバレてもいいや・・と抜き上げた瞬間、アナゴは海に戻っていきました。

「Gakuさん、何だったの?」

「大アナゴ」

「呼んでくれなくっちゃ。」

「アナゴで呼ぶのはねえ・・・」

結局この後、20cmほどのアナゴを釣りましたが、これもマアナゴでした。他にイワシの1匹掛けで釣れるのはドンコだけです。

きむさんが出していたイカ釣り仕掛けには、ついにシリヤケイカが掛かります。

「やったね。夜釣りに希望が出たね。」

「ほんとだね。アジはだめそうだけど、イカが来るなら狙おう。」

ということで、気合が入ります。集魚灯の周りには太刀魚が集まり始めました。そして、きむさんがついに、この集魚灯に集まったタチウオを釣る技をあみ出します。タチウオをどんどん釣り始めます。

「すごいね。」

「やったね。ついにタチウオ釣りの技を確立したぞ。」

「これで北新堤でも釣れるね。」

と、きむさんはこのタチウオ釣りに嵌ります。途中、イカ狙いの仕掛けにはポツポツとシリヤケイカが掛かります。きむさんは、サビキやタチウオ狙いのメタルジグでまでイカを釣ります。

さて、私のイワシ1匹掛けにも、ついに大物のお客が登場です。ぐいぐいと引きます。今日2回目のドラグで遊べる魚です。まあ、またアナゴだろうなと最初は思いますが、先ほどと全く引きが違います。そして、水面に白い影が見えます。

「きむさん、タモ持ってきて」

と叫びつつ魚を観察します。一見カレイかヒラメのようですが、どうも違います。あれです。

「どうしたの?何が釣れたの?」

「アカエイだよ。」

「おー、狙い通りじゃん。」

「うん。針にきをつけてね。」

ときむさんにタモ入れしてもらいます。

しかし、上がってきたのはアカエイではありませんでした。ウチワサメに近い仲間です。ひれに2つ丸い模様があるので、コモンエイの仲間かもしれません。全長は50cmほど。でも、これも写真撮影したいので、もって帰ることにしました。クーラーに入らないので、網に入れて海にぶら下げておくことにします。しかし、これが失敗でした。いつのまにか網は海の中に・・・・・結局この魚の写真撮影は幻に終わりました。せめて、上手く網から逃げてくれるといいのですが・・・

2時過ぎ、集魚灯のガスが無くなり、ついに消えてしまいました。

「きむさん、どうする? あと2時間でまたタチウオタイムが始まるけど。」

「でも、もう太刀魚いらないよね。やめる? 朝何か釣りたい魚ある?」

「唯一気になるのはトビウオだけど、やめようか。」

ということで、納竿することにしました。3時半に片付け終わり、堤防を後にしました。結構疲れましたが、久々の大漁で、気分はすっきりしました。

結局今日の獲物は、タチウオ11匹、イシモチ2匹、カレイ1匹、シリヤケイカ3匹、ドンコ2匹、アナゴ1匹、コモンエイ?1匹でした。イシモチは卵がパンパンになってきました。

ちなみに、きむさんは、タチウオ31匹!!、シリヤケイカ5匹、ドンコ数匹(リリース)、シャコ1匹でした。

さて、来週はきむさんがいないからどうしようかな。